前置き。UXって何か
イベント中でも話題にあがってた通り認識はそれぞれですが、とりあえず「ユーザ体験」の事だと思っています。
良いUXは、何かをしていてストレスなく目的達成できることだったり、その行為自体が快感だったりすること、と言い換える事もできそうです。
UXといえば、UIを改悪する事でUXを改善した話が印象的です。
米国ヒューストン空港では、以前より手荷物引渡所(Baggage Claim)の待ち時間が長いという顧客からのクレームに晒されてきた。空港は増え続ける不平に対処するために、スタッフを増員することにより、平均待ち時間を8分までに短縮させることに成功したが、それでも苦情の数は減らなかった。
そこで、空港がとった方法は、「手荷物引渡所までの距離を延ばし、客に空港内で長い距離を歩かせるようにした」というものだ。
UIの改悪がUXを改善させる場合 – A Successful Failure
という感じで、UXという言葉だけだと難しそうに聞こえますが、実は身近な事一つ一つに関係する便利さとか快適さの事なのです。
ということでUX JAM in SENDAIです!
UX MILKさんが主催しているイベントUX JAM in SENDAIに行ってきました。
「ゆるく学ぶUXイベント」を冠するイイ感じのイベントでした。
楽しむ為の法則は3つ「聞く」「話す」「つながる」!
会場は、株式会社メンバーズさん。シャレオツな感じのスペースがイベント会場です。
ラフな人が多い中、僕とその同僚はスーツだったのでちょっと浮いていたかも。
プレゼン資料は公開されるとの事なので、自分の解釈を含めてゆるくお送りいたします。
スピーカー
以下の方々が今回の話し手。
- 株式会社メルカリ 山田 和弘
- UX仙台/ギルドワークス株式会社 ちゃちゃき
- 株式会社 ZIG 畑山 秀俊
- 株式会社メンバーズ 角銅 浩平
メルカリさんはCMでも最近おなじみのフリマアプリのメルカリのメルカリさんです。
対する参加者は30名。定員が見事に埋まった格好になります。
1.スマホユーザーの為のUXな話
株式会社 ZIG 畑山 秀俊さんのお話。
アメリカで日本食店をやってた(?)という異色の経歴の方。
キュレーション(情報を収集しまとめること)サービスを始めるにあたり、何を優先するべきかよく考えたよ、って感じのお話をしてくれました。
情報量の増大
大きなポイントは、平成13年から21年の8年間で、「情報の流通量70倍」になったのに対し「情報の消費量は2倍」しか伸びておらず情報過多になってきている事。
結果として「移動する時間(検索などしてる)」がネット利用時間の半分をしめるようになっているそうです。
最近ではNaverまとめのような一般の人が発信できるようにもなり、キュレーションは活発化してきているものの、PCから始まったサービスばかりでスマホからの投稿には弱い。事実上、スマホで完結できているプラットフォームがないのが現状みたいです。
投稿はPCからするものって思ってたので、自分の頭の硬さを感じました。
そこに立ち向かうザッパーズ
そこに目をつけて新サービス「ザッパーズ」を作ったそう。
こんなところがUXへのこだわりの模様。
- コンテンツ制作よりもデザインや操作感に注力している
- 「見つける」、「あつめる」、「伝える」の基本ループを快適に行えるようにした
どうしたらライバルサービスとの差別化ができるか、現状をしっかり分析した上で改善課題の取捨選択が行われている様子なのが印象的でした。
2.開発現場におけるUX的な話
株式会社メンバーズ 角銅 浩平さんのお話。
15、6年エンジニアとしてアジャイル開発を経験したのち、今はデザインエンジニアをしている方。
「物を買う」といった行動の工程が複雑化してきていること、トライアンドエラーを前提とした低コストでトライする事の重要性、一人が複数の専門領域を持つのが大事、みたいなお話をしてくれました。
複雑化している現代
物を買う場合に、SNSで見つける→モバイルで調べる→店舗で見る→PC購入する→SNSで共有 といったことも普通にあり、チャネルや時系列を先に想定して検証することが難しい時代になったとの事。
求められるスピード感
そんな時代では、失敗する前提で低コストで作り検証サイクルを回すことが必須課題。
手書きのペーパープロトタイプや、クライアントも含めたチーム作りをするなどフットワークの良いプロジェクト運用が必要だそうです。
その他、付箋紙を使ったペルソナの検討など。
なるほど!って感じですね。うちの勤め先はお堅いプロジェクトも多いのでまだまだ足取り重いです。
各自に求められる複数の専門性
そんな中で「デザインエンジニア」はヒアリングからUIデザイン、グラフィック、フロントエンド、バックエンドまで幅広い専門性が求められるのだそうです。
専門性と専門性をつなぐH型人材としての役割も兼ねます。
様々な立場の目線を持ちことで、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブといった各観点での条件を満たす事につながります。それが最終的な成果に!
色々とポイントとなる場所はありそうですが、クライアントやエンジニアをいかに巻き込むか、この辺りが要になりそうな気がしました。
3.UXって何か考え直すような話
UX仙台/ギルドワークス株式会社 ちゃちゃきさんのお話。
hcdvalueやUX仙台など色んな事に絡んでいる人みたいです。
UX whitepaper(UX白書)の翻訳も参加との事。現在のお仕事は宮城からリモートワーク。
UXが何であるか共有する事の大切さ、UXが全員に関係があること、人の内面をインタビューして収集・分析する必要がある、みたいなお話
UXって何か
会場全体で、UXって何か考える時間がありました。
ちょっと反応は微妙でしたが、そうすることでUXをする合わせられた、はず。
ちなみにUX白書では
現象 ユーザー体験(例:健康) ←これがUX!
研究分野 UX研究(例:医学)
実践 UXデザイン(例:医療行為)
みたいです。
UXについて何を期待しているのか各員の認識合わせが必要ってこと!
良いUXかどうかを知るには
ユーザーは自分の事しか気にしていません。
良いUXを提供できたかどうかはユーザーの内面にしかないって事なんでしょう。
インタビュー
ユーザーインタビューを行い分析、ユーザーがどんな状況にあるのかユーザーが使う言葉を探す事の重要性を話してくれました。
営業管理のアプリであれば、近くの営業さんとコンタクトを取り情報収集し、そのユーザーにどんな言葉だったら受け取ってもらえるか探すんだそうです。
例えば、「おかし」もある人にとってはおかしは「ポテトチップス」かもしれない。
確かに、ちょっとした表現の違いって気になる事がありますよね。
ちなみに「知る できる わかる」がUX仙台のコンセプトだそうです。
(誤ってギルドワークスさんのコンセプトと書いておりました。ギルドワークスさんのミッションは「正しいものを正しくつくる」とのこと。)
似たような事は僕らもやりたいと思ってるので刺激になりました。
4.カスタマサポートによるUX改善の話
株式会社メルカリ 山田 和弘さんのお話。
カスタマサポートの大ベテラン。
Mercari In Sendaiは100名もいるみたい。
カスタマサポートへのこだわりと、ユーザーの声に応える形でプロダクトの改善を行ったというお話をしてくれました。
顧客の時代
顧客が力を持つ時代になってるのだそうです。
メルカリはこんなところが顧客優先してるってお話をしてくれました。
お問い合わせ・通報は極力早く対応
→すばやく解決に導く
もし不条理なトラブルは積極的に仲介
→損はさせない(金額的な損だけはさせない。メルカリが補填)
自分たちだけではなく、パートナー連携も行う。
→関係各社と連携
高級ブランドは偽物があって怖いという意識→ブランドさんたちにチェックしてもらえる体制を作る(200社くらいに協力)
ネットサービスだからしょうがないよね。みたいなところに真っ向勝負している感じですね。
プロダクト改善による根本的なUX改善
スタバ の例。
体験の質の低下から経営悪化した時期があったが、顧客の声に耳を傾け店員の再教育を徹底。
経営改善につながったそうです。
プロダクト改善による根本的なU改善
メルカリもお客様の声により課題を抽出しプロダクトを改善。
結果として利用増・継続利用が増加したとの事。
- どう発送していいかわからない
- かんたんに安く配送したい
- プライバシー情報をしられたくない
といった問題を、新しい取り組みにより解決したそうです。
ヤマトと連携し、QRコードでの購入者住所読み取りを行い匿名での配送を可能にしたり、全国一律の料金での配送をできるようにするなど根本的なUIの改善を行ったそうです。すごい!
広い視野での改善活動。思いつく以上に実行するのが大変だったかと思います。
そんな大掛かりな改善を行った実行力に関心しました。
UX JAM in SENDAIそのものが提供するUX
このUX JAM in SENDAI自体もまたUXを意識して作られたイベントだと言えると思います。
例えば、
- アイスブレイクとして近くの人と自己紹介する時間を作る事だったり
- 質疑応答の時間をあえて取らない事だったり
- 開始時から飲み物(アルコール含む)が置いてあったり
「ゆるく学ぶ」とあらかじめ言い切ってるので、参加者にもゆるく受け入れてもらえてた事でしょう。
残念ながら懇親会に入るまでなかなかアルコールには手が伸びてなかったようなので、ここは改善課題なのかもしれませんね(笑)
面白い会だったので次の機会も足を運んでみたいものです。
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